学会で学んだこと。


4月の終わりのほうの日曜日。

私は福岡にいた。

快晴。

朝からホテルのまわりを日課の散歩をしながら・・・・

こんな天気いいんだったら、オートバイを乗るスケジュールにすればよかった・・・・

と心の中の自分がどこかでそうつぶやいた。

アクロス福岡 国際会議場。

この日の学会は、あるインプラントメーカーが総力を上げて、国内外からゲスト講師を招聘し、大きな講演会を行うのだ。

一番のハイライトはライブオペ。

国内、海外から、映像が配信される。

映像をLIVEで観るということは本当に貴重である。

なぜなら、そこにはウソもないし、編集もないから。

どんなにすばらしい症例写真があっても、手術手技までは詳しく見ることはできない。

その学会でスケジュールされている時間、その分野の手術のエキスパートと言える人が、説明を実際に行いながら、進めていく。

だれでもできそうだが、そうはいかない。

手術は、単純ではない。

人の体のことなので、読めないことが突如起きたりするもの。

しかし、それを専門家である大勢の歯科医師の前でやってみせるという人は世界でも一握りしかいない。

圧倒的な手術経験と技術がないとそれはできないと思う。

 

時間になり、そのライブオペが始まる。

会場はシーンと静まり、全員がスクリーンを食い入るように見ている。

鮮やかな手つきである。

世界トップレベルのクレスタルアプローチソケットリフトとガイドサージェリーを、そこで見学させていただいているような感覚で観ることができた。

いままでの疑問が次々と解決していく。

習うより、実際観ることのほうが、学ぶ情報量が格段に違う。

とても貴重な映像である。

私が歯科医師になった20年前には、こんなことができるようになるとは、夢にも思わなかった。

海外まで手術を見にいかなくても良くなってきているのだ。

若い先生は、私がした苦労をしなくても、技術を勉強し、習得できるようになってきている。

あとは技術を修練する機会を増やし、貪欲に学び続けることだけだ。

そしてその経験を次の世代のために活かそう。

時代は大きく変わろうとしている。

今、インプラント治療を受けた人が、年齢を重ねていき、超高齢化していく。

その時にインプラントがどのような影響を与えていくか。

光もあれば影もある。

義歯(入れ歯)を入れている人より天然歯、インプラントで何不自由かめる人のほうが、介護状態、寝たきり、認知症にならない確率は圧倒的に高いという。

歯を大事にすることが、超高齢と呼ばれる世代になったときに差がでるのは明らかである。

しかし、もし認知症になったら歯は磨けなくなる。すると根面カリエスが進み、加速的に歯を失いだす。

寝たきりになると、思うように噛むことができない。すると歯列が変わっていく。

その結果、歯は短期間で移動し、軟組織を挫滅させる。インプラントが原因で、終の苦しみを味わってほしくないと私は願っている。

だから、そのインプラントを簡単に外すことができるようにいろいろな工夫をしないといけない。

もちろん、私はそうしているが、もしものことを考えておくことはとても大事。

講師の先生が、「大学では少なくともこれから歯学部の学生にはインプラントの除去する方法だけは学ばせてほしい、入れることより外すことが重要です」と言われていた。私も同感である。

今回の学会では、もっと学ぶ必要がある、もっと患者さんに向き合う必要がある、ということを改めて学んだ一日であった。

技術も時代にも終わりはない、改めてそれを実感した。

 

 

夕刻、国際会議場を後にして外へでたら、まだ空は晴れていた。

美しい夕焼けを見ながら、帰路高速道路を運転する私の心も晴れ渡っていた。

 

文責

医療法人 良陽会 鶴田歯科医院

理事長  鶴田 博文

 

 

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